薬膳コンサルティングのお仕事を始めさせていただいてから、10年以上になりました。
私の薬膳コンサルティングのはじめの仕事は、2003年にウェスティンホテル東京「中国料理・龍天門」で開催した、完全体質別、オーダーメード薬膳企画「滋食同源フェア」でした。
当時、もっとも予約の取りにくい中国料理店「龍天門」のシェフとして、活躍していらした陳啓明シェフから、ある方をとおして、連絡をいただいたのがはじまりです。

「薬膳は、本来は、ひとりひとりの体に合わせて作るものですよね。
一人づつカウンセリングして、その人の体調に合わせて、食事を作る。大変かもしれないけど、それをうちの店で僕は、チャレンジしてみたいんですよ。そのために、阪口さん、ぜひ、力を貸してください。」
それから、3ヶ月以上、陳さんと私の企画、提案、試作が続きました。
『滋食同源フェア』の内容は、こうでした。
チェックシートを用意し、体質を大雑把に4種のタイプでセルフチェックしてもらいます。
そして、さらに食事前に、私がひとり5分程度で、体調をカウンセリング。体にあった食事を選びます。
4人一組のテーブルであれば、前菜、魚介、野菜、炒め物、スープ、麺飯、デザート、薬膳茶、これがすべてひとりひとり違うものになります。

ネックは、オペレーションです。中華料理は、フランス料理とは違って、炒め物は大きな鍋でつくるのに、今回はすべて、一人分づつ。
違うメニューを、同じテーブルなら、同じタイミングで、ワンポーションづつ出さないといけません。
これは、中華料理では至難の技。
私の方は、限られたカウンセリング時間の中で、信頼してもらい、体調を聞き、メニューを選び、説明する。
そのための薬膳の紹介カードを作ったり、だれもがわかるチェックシートを用意したり。
陳さんと、「まだ、日本でだれもやったことのない医食同源のメニューに、チャレンジしよう」と、妥協無し、試行錯誤の日々でした。
完成したのは、この「滋食同源フェア」のために
前菜のもりあわせ :5メニュー
魚介:6メニュー
野菜:オーダー
炒め物OR蒸し物:7メニュー
薬膳スープ:6メニュー
麺飯:5メニュー
デザート:7メニュー
薬膳茶:5メニュー
組み合わせ次第では、数百になるようなメニューが完成しました。
例えばスープは、
イチジクと栗の鶏スープ
羅漢果とクレソンのスープ
鮫の骨と五穀のスープ
など、普通の中華ではお目にかかれないようなスープが用意されました。

こんなリッチで時間のかかる食事を食べに来てくれる人があるかしら?という心配をよそに、「滋食同源フェア」は、連日、たくさんの方にご予約をいただきました。
陳さんと話をすると
「あの時だからできましたよ。実際は、オーダーが入ると厨房は戦場だったよ。」
とおっしゃいます。
私は、ここで多くのことを学びました。
中国料理は、厨房の中は、炒め方、前菜、点心といくつかのチームに分かれています。
私の提案するメニューを出してもらうためには、それぞれのチームのリーダーと意思疎通をすることがとても大切でした。
ホールスタッフには、メニューの説明をしてもらうための、スタッフセミナーとマニュアルの作成も必要です。
フェアの開催中は、毎日3時間ほどの時間で、ひとり5分何十人ものカウンセリングをしたことで、短時間で人の体質を判断することをおぼえました。
今、私が薬膳コンサルティングのお仕事をいただいて、一番誇れることは
「そのお店とシェフの特徴と良さを見抜いて生かすこと。」
「それを生かして、そのお店ならではの魅力的なメニューを一緒に作れること。」
です。
下は、私が、『滋食同源フェア』の際に、描いた薬膳カウンセリングの企画提案用のイラストです。
つたないイラストですね!

「自分の持つ薬膳のイメージを人に伝えること、そして、相手の力を引き出し、実現してもらうこと。」
その力を養わせていただいた、龍天門でのチャレンジに感謝しつつ、初心を忘れず、これからも、たくさんの方に薬膳の楽しさをお伝えできるコンサルティングに、邁進します!
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